本ブログの更新について

 本ブログの更新は2016年3月31日をもって終了しました.ありがとうございました.
posted by みっちぃ (管理人)

2012年01月29日

研究は孤独だ

 自分はどちらかというと,書籍とか論文を読んでもすぐに納得できないことが多くて,自分なりの考えを交えて解釈しようとする.学校での勉強の成績が悪くて統一模試の成績の方がよかったのもそれが理由だったと思う.「素直に暗記すればいいじゃん」(高校時代の教員談)という感覚は特に嫌いだ.
 その性格は今の仕事をやる上でとても役立っていると思う.ただ,新しいアイディアや視点を主張しようとしたときはいつだって孤独だ.同じ研究組織にいる仲間同士でも,まず最初はある程度の資料を伴って論拠を明文化し,議論のたたき台をつくらばならない.そこまでの過程はやはり孤独なのだ.
 多くの学問は共通の認識を持つ者同士がコミュニティーを作り,次第にその中で知識が体系化されていく.異なる視点を持つ者同士が多く集まった方が,より客観的な知識の体系化ができる.だからこそ,(学会の公式/非公式に関わらず)いろいろな研究会や勉強会が開かれているし,中の人は「誰でもWelcome」を叫ぶのだと思う.しかしながら,ある程度大きくなったコミュニティーは一定の知識が体系化済みであったりするので,それを覆すような知見は無視されやすい傾向がある.もし自分の信念を貫きたいのであれば,やはり最初は孤独に研究を始めていくしかない.
 逆に,コミュニティーの中に入りその知識体系の中に浸ることに疑問もなく満足を感じるならば,それも大事なことだと思う.しかし,そのような者を研究者と言えるだろうか.1つ言えることは,この研究スタンスから革新は生まれ難いだろうということだ.
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2010年06月23日

モチベーション下降気味

 今日は給料日.仕事ができ,安定した形で給料をいただけることを感謝しなければなりません.ありがたいことです.
 ただ,うれしいはずの給料もモチベーションは下降気味.今年度で社会人として復帰してから3年目になるので,今月の給料から所得税や住民税の支払いが“完全な形”(つまり1年間分の所得に対する課税)となって差し引かれるのです.
 税金の支払額が多くなるため,手取り給料は昨年に比べると減ってしまいます.減った金額から奨学金の返済額を引いた可処分所得は,10年前の新人社会人のころの可処分所得よりも低い金額になってしまいました.
 こうなることは前もってわかっていたことではありますが,やはり現実を目の当たりにすると複雑な心境です.それなりに努力して学位を取ったとしても,新人社会人のころよりも遥かに重い責務を全うしても,所得は良くなるどころか悪くなっているのです.1つの目標だったとはいえ,学位を目指した7年前の決断が正しかったのかどうか考えさせられます.
posted by みっちぃ (管理人) at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 博士(工学)を目指す方へ

2008年03月25日

博士までの5年間を振り返る 〜1年目の研究編〜

 博士の学位を得るまでの5年間を振り返る記事を書いていますが,前回の「大学院への進学編」につづいて今回は1年目の研究について振り返ってみたいと思います. 続きを読む
posted by みっちぃ (管理人) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 博士(工学)を目指す方へ

2008年03月15日

博士までの5年間を振り返る 〜大学院への進学編〜

 先月29日の研究科会で,私の学位は無事認定されることになりました.私にとってひとつの夢であった博士(工学)の学位を授かることができます.これまでご支援をいただいた多くの方に深謝させていただきます.ありがとうございました.
 何編かに分けて,大学院生活の5年間を振り返ってみたいと思います.本記事では“大学院への進学”について振り返ってみます.
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posted by みっちぃ (管理人) at 17:32| Comment(1) | TrackBack(1) | 博士(工学)を目指す方へ

2007年07月30日

学費を納入してきた

 さっき,今年度前期分の学費を払ってきた.\625,000-也.厚い札束を見ていつも思う.この道は正しかったのかと.
 学位取得は自分の幼いときからの夢だった.だから,学部を卒業後にそのまま修士課程に進学したかった.でも,経済的に無理な環境だから社会人として就職した.就職後はずっと社会人として活動していくつもりだったが,やはり夢を捨てきれず再進学した.
 しかし,博士の学位をとることがこんなにもリスキーだとは考えなかった.何よりも取得後の進路が真っ暗なままだ.進路が決まらなければ奨学金が返せなくなる.就職できても安定した収入が無いかもしれない.ちょっと間違えば,博士が100人いる村の最後の8名になるかもしれないという不安がいつもアタマを横切るのだ.
 もっと親に経済力があれば・・・.学部時代いつもそう思った.一人暮らしさせてもらうような余裕が無かったから,自分は往復8時間の通学を毎日しなければならなかった.周りの友達はクルマを買ってもらい,サークルを楽しみ,年2回は海外旅行に行き,ブランドものの身なりだった.だから,みんなの毎日が羨ましかった.
 今でさえ,その生活はほとんど変わっていない.変わったことは経済的な負担を親に求めていないこと.自分自身の借金は高額化しているが,なんとか学位は取得できそうだ.でも,学部時代から味わってきた経済面での閉塞感は,修士からいままでの5年間だけでなく,今後10年以上も開放されないだろう.
 つまり自分は,学位を取得しながら完全なる下流の人間になるのである.
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2007年06月27日

自分に1000万円以上を賭けることについて

自分に1300万円賭けられますか――MBA取得の利回りはどれくらい?[ITmedia]
 自分も同じような計算をして会社を辞めて博士の学位を取得する道を選び,結果的には自分に1000万円以上の賭けをしている身です.しかし,利回り20%という試算は全く想像できないですね・・・.MBA取得は高収入が見込めるんですね・・・.
 いや,それは何となくわかるんですが,でもMBA取得直後から1000万円級の収入を想定できるところが,博士の学位を取るのと大きな違いですね.そして,そこから上限が無いかのように毎年5%の定率的な年収増加を想定できる・・・.この試算を見てしまうと,がんばってでもMBAほしくなりますよね.
 そもそも,留学開始直前の収入が28歳で700万円というのも実感わかない・・・.確かに,コンサルは高収入な結果となっているようで妥当な数値のようです.しかし,フツーのITエンジニアがMBAにトライしようとしたとき,(結果的な利回りはさらに高くなるのでしょうが,)その賭け金と年収の差は大きくなるわけで,これではスキルアップしようにもなかなか手が出せません.
 だから,あえて言うなら「期待や妄想が膨らむときこそ、綿密に試算を!」だと思うけどなぁ.
posted by みっちぃ (管理人) at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 博士(工学)を目指す方へ

2007年05月24日

修士1年目の費用

 しばらくこのカテゴリを書いていなかったので,私の場合の修士1年目の費用について書いてみたいと思います.

【学費と生活費】
 私は学部卒業後ソフトウェア開発技術者として3年間勤務したあと,私立の理工学研究科に進学しました.本当は国立大を考えていたのですが,学部時代の指導教員の意見に従うかたちで母校の私立大学院に進学したのです.
 学内出身者ということで,(たしか)30万円の入学金はかかりませんでした.年間の学費は約120万円です.1年目はいくつかの講義に出席する必要があるので,教科書代などがかかりました.
 生活については,本当は親元から(片道3時間かけて)通うつもりだったのですが,指導教官の指示によりワンルームの部屋を借りて生活することにしました.こう書くと私の意見が無いように思われるかもしれません.しかし,私が経済的な理由を述べると,その指導教官は“いくらあればいいんだ?俺が金を出すから研究を優先しろ”というのです.いくら恩師といえども,直接を金を借りるには抵抗がありました.この台詞から理解したことは“とにかく研究に集中すべきなんだ”ということでした.そのため,無理をしてでも大学近辺に部屋を借りることにしたのです.
 ワンルームの月5万円前後の部屋を借りました.もっと安い部屋でもよかったのですが,当時は社会人時代の金銭感覚が払拭できず,相場以下にはしたくなかったです.光熱費は,特にガスが高くて計1万円ほど.ほか,携帯電話などの通信費などがかかるわけです.それら費用を1ヶ月あたりの費用としてまとめると次表の通りです.
摘要 費用
学費 \100,000
家賃 \50,000
光熱費 \10,000
通信費 \10,000
交通費 \5,000
年金(当時) \13,580
食費 \20,000
合計 \208,580

 食費は1ヶ月で2万ですから1日あたり666円です.社会人時代とは比べられないほど貧素なものになりました.ちなみに,自分の大学の学食の相場は250円(かけそば)〜500円前後(定食類)なので,昼食に使ってしまうとあっという間に飛んでしまいます.それに,上記の内訳には衣食住の“衣”に関する費用を含んでいません.私はあまり身なりに凝らないのでそれほど出費はありませんでしたが,それでも季節の変わり目に買い物すると数千円から1万円にはなるでしょう.また“交際費”も上記には入っていません.飲み会があると1万円近くなることもあります.これらを踏まえると,1ヶ月あたりの費用が20万で収まるわけがありません.通例,毎月22万円ぐらいはかかっていたと思います.よって,年間260万円前後が学費と生活費で必要になっていました.
 なお,年金には「学生納付特例制度」というのがあります.これを利用すると,特例の承認を受けた年度の支払いが免除されます.免除された分は10年以内に追納することができます.追納時には経過期間に応じた加算額が課せられます.追納しなかった場合,将来受け取る年金額が減ります.よって,結局は納付しなければならない制度です.それならば,あとから追納すると高くつくので,できるだけこの制度を利用せずにコツコツ納入したほうが良いと思います.

【研究活動のための費用】
 どういうわけか,(いまだに微々たる額ですが)私の研究室には使える研究費というもがありませんでした.研究用のコンピュータは全員が自費で揃えていました.幸い,自分は社会人時代に買ったノートPCがあったのでそれで足りましたが,プリンタなどは購入しなければなりませんでした.
 研究のため,多くの書籍にも目を通したかったのですが図書館の蔵書は古く,結局は自分で書店に出向き,自費で購入するしかありませんでした.
 もっと大きな出費は,学会参加に関わる費用でした.まず,学会会員費として年間1万円強かかっています.それに加え,学会の大会で研究発表するように指示されていたため,修士1年目は計4回の発表を行いました.学会の大会は,いつも首都圏で行われるわけではありません.あの年度は,首都圏で2回あった他は北海道と新潟に出張しました.これらの出張費用及び大会参加費は自費です.北海道の時は移動に飛行機を使いましたし,大会期間中の宿泊もしました.10万円弱はかかったと思います.新潟の時は新幹線ですが,それでも宿泊費用を含めて5万円前後かかったと思います.
 その後知ったのですが,学会会員費や自らが発表する際の参加費用は,研究費から出していただけるはずだったというのです.なぜ当時,自費で行かなければならなかったのか非常に憤りを感じるのですが・・・.
 このように振り返ると,研究活動のための費用は30万円ほどかかっていたと思います.
 なお,私のように研究活動のための費用を自費で賄わなければならないというのは一般的ではないように思われます.少なくとも自分の周りのほかの研究室では,研究活動のための費用は研究費で賄われており,学生が負担するという状況は無いようです.

【国民健康保険及び税金の支払い】
 先に述べたとおり私は社会人として働いていました.進学後もしばらくは在職していたのですが,退職すると,年金以外にも国民健康保険や税金の支払いが待っています.私の場合,退職したタイミングの関係でこれらが(自ら支払う形で)生じたのは修士2年目ですが,本記事でも触れておいたほうが良いでしょう.
 年金は一定額ですが,国民健康保険及び税金は前年の所得に応じて6月ごろに納付請求が来ます.給料天引きのシステムの会社にいると,退職後にいくらの納税になるのか正確な見積もりを怠りがちです.研究を優先するために退職を考えられている方は,十分に考慮されることをおすすめします.
 なお,全日制の大学に通った場合,退職後の失業保険は支払われません.ハローワークで“再就職の意思はあるし,そのための自己啓発として大学に通っているんだ”と主張しましたが認められませんでした.それゆえ失業保険支払いの対象者に認定してもらえなかったのです.この点にもご注意ください.

【まとめ】
 以上をまとめると,私の場合の修士1年目の出費は年間300万円弱です.私の貯金はあっという間になくなりました.奨学金(借金)生活の始まりでした・・・.
 300万円というと大卒の新人社員の給料です.これだけの大金を出して,社会人学生として大学院に進学しなければならないということのリスクは覚悟しなければなりません.研究のための時間と,生活を維持するための勤労を両立できるかどうかは,周囲の人間の理解も必要になるでしょう.この点に関しては,またまとめ直したいと思います.
posted by みっちぃ (管理人) at 01:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 博士(工学)を目指す方へ

2007年04月23日

約7割が苦学生?

約7割が苦学生? 学費が社会人学生の負担に[ITMedia]
いや,苦学することになるのは普通でしょう? だから,私は7割というのは少ないと感じます.言い換えれば,それだけのリスクを負わないと進学できないような仕組みが大きな問題だと思います.社会人が大学進学しやすい仕組みが早急に実現されるべきです.これは格差の固定化という問題を避けるためにも重要な話だと考えます.
 私は工学系の大学院に進学した結果,会社を辞めました.というか,本当は辞めたくなかったので半年間は休職扱いにしていました.正確に言うと,進学後の最初の1ヶ月間は会社との両立を試みていました.しかし,当時は週3日の授業のためにまともに勤務できませんでした.その分給与が減ってもかまわないと主張しましたが,会社側は前例がないために給与支給できないと言い,私は休職扱いにせざるを得なかったのです.非常に残念なことに,進学先の指導教官にも両立したい旨を主張していたのですが,半年間の説得は実らずに理解を得ることができないままでした.そのころ(つまり修士1年の秋)になると早くも進路を考えなければなりません.私の場合,(1)復職する,(2)中途採用で他社に転職する,(3)新卒扱いで就職活動を始める,(4)博士後期課程に進学する,の4つの選択肢から進路を考えることになりますが,(2)か(3)の選択肢を考えるならば休職していた会社を辞めなければなりません.非常に悩みましたが,選択肢の幅を広げる目的で退職したのです.
 企業などの研究所に勤めている方が,大学との共同研究の関係で大学研究員として在学するケースがあります.場合によっては,研究員ではなく学生として入学することもありえるそうです.その様な場合に学費は会社負担となり,給与支給も継続するというようなケースがあるようです.その狙いには,会社が本人に博士の学位をとらせる目的もあるようです.このような形で共同研究することで社員の立場を高めるのです.
 このようなプロセスで社会人学生となり,学位を取得できるというのは羨ましい限りです.本人の能力が優れているというよりも,そういう状況下で働いているという偶然と人脈ががないと,まず実現しないだろうと思われます.そのような環境にないならば,リスクとって大学進学するかどうかを選択すしなければならないのです.
 私の意見としては,現状では,既に社会人として働いている人が大学(または大学院)へ進学する価値は大きくないと考えます.特に2流以下の大学に進学する価値は少ないと考えます.よく言うように社会人として働いていたほうがよっぽど勉強になります.学位の取得が主目的なら進学するしかありませんが,勉強したいと思っても大学がそれを満足してくれるかどうかは分りません.全入時代に入り大学の質は急激に低下します.質をかろうじて保てるのは1流大学だけです.質が下がった大学は,社会人のモチベーションを活かす能力を欠いている可能性があります.そうでなくても,先日のAERAが「トンデモ内定社員が来る」という記事を記載していたように,学生の質が悪いほうへと変化しつつあるのです.
posted by みっちぃ (管理人) at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 博士(工学)を目指す方へ

2007年02月24日

20年後,40年後のプランを考えよう

博士(工学)の学位取得を考えて進路を悩んでいる(学部生の)皆さんへ.もし,私の考えがあなたの意思決定に貢献できれば幸いです.
今回は,学位習得が自分の人生に対してどのように影響するかをまとめたいと思います.ここでは,学位取得後に助手,講師,助教授,教授というキャリアパスを描いた場合について考えたいと思います.

(1)生涯年収について
 いくつかリンクを張りましょう.
 最後のリンク先には「35歳助教授 900万円・・・65歳教授 1400万円」なんてなってますが,これはかなり良いほうに思えます.少なくとも私の大学では,先生方のお話を間接的に聞く限り,ここに記載されいている8〜7割程度のようです.もちろん大学によって異なるのでしょうが,上記2つのリンクの内容を合わせて考えても,工学系の大学教授の生涯年収が高いとはいえません.

(2)定年制度
 一般社会人に比べて定年が遅いイメージがあるかもしれませんが,多くの場合65歳となっているはずです.65歳定年制は一般企業でも導入が始まるでしょうから特別なことではありません.その後“名誉教授”という形で大学に残ったとしても,称号を与えられたものであって,同時に研究環境が与えられたとしても給与支給が継続するものではありません.

(3)生活の安定度
 今まで大学はまさに聖域だったのでしょうが,大学淘汰の時代に入り,競争力のある大学だけが生き残る形になります.ここで大学格差は無視できません.もしあなたが既に一流大学に在学していて,一流大学の大学院に進学するのであれば大学格差の心配はしばらく無用だと思います.そうでないならば,自分の大学の将来を長い目で見積もる必要があると思います.
 (工学系の場合で,)大学の将来を見極める方法はいくつかあります.比較的簡単な方法を紹介しましょう.(別に大したことじゃないです)
  • 先生方の過去5年間分の研究業績をすべて調査する.採録されたJournalが十分あるかどうかを確認する.その際インパクト・ファクタを意識すること.海外の学会だからと言ってインパクト・ファクタが高いとは限らない.なお,査読のない研究報告や口頭発表は参考にならないので注意.
  • 業績が見つからない場合,なぜ見つからないかを調査する.次の原因が疑われる場合は大学の将来が危ぶまれる.
    • 授業が忙しすぎて研究の時間がない.定年などで先生方がご退官されていくのに,増員がない場合はさらに要注意.大学運営側が人件費削減している証拠.
    • もともと研究する意思がない.例えば,春休みなどの長期休暇中にほとんどご登校されておらず,ご研究されている気配がないとか.
    • 設備投資がなく最新の研究環境がない.通常,科研費で研究環境作りができるはず.科研費はここで採択研究を検索できるので調べてみると良い.
  • 産学連携プロジェクトが,大学内でどのくらい行われているかを調査する.そして,プロジェクトからどのような研究成果が出ているかを調べる.企業の“お手伝い”のための産学連携はあまり好ましくない.
 他にもリストアップしたいことがあるのですけど,とにかく“研究成果”が出ていることが大事です.“書籍”が出ていても駄目です.書籍には新しい“アイディア”が含まれないからです.新しいアイディアであれば,先に論文が出ているはずです.
 なぜ“研究成果”に重みを置くかというと,それが研究者のシゴトであるからです.良い研究者はより多くの“良い研究成果”を残します.良い研究成果は世界的なインパクトを与え,新たな資金と優秀な学生を大学に呼び込むのです.
 このことは,先生方も重々承知なされているはずです.ここに書いたことは私の私見ではなく,一般的に考えられる範疇のもです.そうであるにもかかわらず研究業績が見当たらないとすれば,それは不思議なことなのです.
 もしかしたら,将来,あなたがすばらしい研究成果を残すかもしれません.自信があるなら,そのモチベーションは大切にしたほうが良いでしょう.でも,あなたのやりたい研究のための環境が十分用意されているでしょうか.研究環境がなければ成果を残せませんし,成果を残さなければ研究環境を得ることができません.学位取得後に有利に研究を進めるには,大学院時代に良い研究成果を残すことです.そのための環境が十分にあるかどうかも,しっかりと見極めなければなりません.それが,安定した生活を得るための第一歩です.

(4)今回のまとめ
 こうしてみてくると,大学教授の立場が決して安定しているわけでも,優遇されているわけでもないことが分ると思います.例えば先日,MITの石井教授がNHKの番組に出演されていましたが,一般のサラリーマン以上にご多忙な生活を送られています.石井先生が特別なわけではありません.第一線でご活躍されている先生方は,大変忙しいご生活を送られています.そしてその中で,着実に研究成果を残されています.
 20年後あるいは40年後の自分が,そのような多忙な生活を送っていることを想像できるでしょうか.想像できないのであれば,博士(工学)の学位取得は無駄になるかもしれません.博士(工学)の学位取得に意味があるのではなく,学位を生かした生活に意味を見出す必要があるのです.
posted by みっちぃ (管理人) at 02:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 博士(工学)を目指す方へ