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posted by みっちぃ (管理人)
2011年07月29日
日本の医療はもうダメかも
この記事を見てあまりのひどさに悲しくなる.
医師を目指す医学生として,講義を受けることの本質を間違っていないだろうか.単位がほしいから,聞いていて楽しいから,わかりやすいから,授業が楽だから,出席チェックが緩いから・・・などの“ゆとり目線”で講義の価値を判断していないだろうか.
この記事はもともと,全国医学部長病院長会議が学力の低下を理由に医学部の新設や定員増を反対していることについて疑問を呈したかったのだと思う.その視点は十分に理解できるのだが,その話が横道にそれて,自らの痴態をさらしてしまったようにも見える.ある意味では,そういう実態を晒す意図を含めて日経の編集者は記事として採りあげたのかもしれない.
あえて私がこの筆者に進言するとすれば,もっと使命感をもって勉学に励んでほしいと思うのである.医師というのは多くの人の人生を変えてしまう職務である.それほどの重責を負う立場になることを自覚するとともに,重責に耐えうる能力の一つの要素が高いレベルの学力であることに気付いてほしいと思う.
日経メディカルオンライン著者は医師のキャリアパスを考える医学生の会の誰かということなのだが,こんな考えの学生が近い将来に医師になると思うとぞっとする.当事者意識がなく,自己中心的で,我がままで,傲慢で,視野が狭く,短絡的である.ここまでひどいと,通常は誰も相手にしなくなる.私もスルーすればよいのだが,15箇所ほど突っ込みたいうちの2つだけ取り上げてみたい.
医学生の学力が低下・・・それがどーしたの?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cadetto/igakusei/sasatta/201107/520944.html
筆者の実感としては、学生は「この先生の話を聞きたい。この講義は出る価値がある」と判断すれば、何もしなくても出席するものです。授業内容が変わらないのに、締め付けばかり厳しくしても良い医師の育成にはつながらないどころか、かえって学生のモチベーションが下がる原因を作っているように思えます。また、先生方には、レジュメを読み上げるだけ、ぼそぼそ喋るだけ、といった講義になっていないか、学生がどう受け取っているのか、今一度振り返ってみてほしいと思います。まるで小学生の発想である.初等教育の子供を教えていると,よく「こんな勉強して将来何の役に立つの?」なんて聞いてくることがあるが,まさにそれと同類である.講義に出る価値があるか否かを,なぜ学生が判断できるのだろうか?そもそも,講義に対する価値とは何か.今は価値が見出せなくても将来役に立つ場合もあるのに,そんな将来を見据えて実際の臨床に携わる前の学生に講義の価値を判断できるとでもいうのか.
記事より引用
医師を目指す医学生として,講義を受けることの本質を間違っていないだろうか.単位がほしいから,聞いていて楽しいから,わかりやすいから,授業が楽だから,出席チェックが緩いから・・・などの“ゆとり目線”で講義の価値を判断していないだろうか.
さらに言えば、極論ではありますが、医学生の学力が落ちて何の問題があるのでしょう?患者さんが求めているのはどんな医師なのか?現場が必要としているのはどんな医師なのか?そこが一番重要なのではないでしょうか。こんなの極論でもなんでもなく,まったくもって論外である.例えば,これまでの執刀経験は同等で,手術前の事前説明も共にわかりやすく,人柄も共によい10年目の医師が2人いたとする.もし手術を受ける際に,2人の医学生時代の学習状況と医師国試の成績を知ることができるとしたら,私だったら,“レジュメを読み上げるだけ、ぼそぼそ喋るだけ”といった眠くなるような講義にも耐える積極性と集中力を持ち,成績の良い医師に執刀をお願いしたいと思う.頭の悪い医師よりも頭のいい医師に診てもらいたいと思うのは,一般的な患者の感情ではないか.現場だって,成績の悪い研修医よりも成績の良い研修医の方がいいのではないだろうか.低レベルな知識からOJTの相手ができるほど現場の医師は暇ではないだろう.そんなこと,医学とか医療とかを語る前に自明と思うのだが.記事より引用
この記事はもともと,全国医学部長病院長会議が学力の低下を理由に医学部の新設や定員増を反対していることについて疑問を呈したかったのだと思う.その視点は十分に理解できるのだが,その話が横道にそれて,自らの痴態をさらしてしまったようにも見える.ある意味では,そういう実態を晒す意図を含めて日経の編集者は記事として採りあげたのかもしれない.
あえて私がこの筆者に進言するとすれば,もっと使命感をもって勉学に励んでほしいと思うのである.医師というのは多くの人の人生を変えてしまう職務である.それほどの重責を負う立場になることを自覚するとともに,重責に耐えうる能力の一つの要素が高いレベルの学力であることに気付いてほしいと思う.
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実際の医療現場は、学生の時よりも理屈通りに行かない事はたくさんあると思います。
筆者に責任という言葉は似合わないと思いました。
医師を目指す人,医師になった人,共に人間ですから考え方は十人十色でしょう.医師だからと言って患者側が色々な期待を持つのもよくないのだとは思います.
あるテレビ番組で,転職を考えている医師を対象にした,地方の病院への無償旅行の模様が報道されていました.このツアーは人材紹介会社が企画したもので,狙いは地方の医師不足の改善です.医師と病院の契約が固まれば成功報酬を得られるというビジネスモデルなのでしょう.とても良い取り組みだと思いました.その番組では数名の医師が参加しておりましたが,破格の条件にかかわらず1件も契約に至らなかったそうです.参加した医師の誰もが,自分の考える医療を実現できないと思ったから,というような理由を答えていました.
このように,医療を通じて社会に貢献するということより,自らの信念やキャリアを優先する医師は少なからずいます.この記事の筆者も“キャリアパスを考える医学生の会”を称しているように,自分の将来のキャリアを気にしているかもしれません.しかし,そんなモチベーションの医師にお金を払って診てもらいたいと思う人がどのくらいいるでしょうか.
この記事の筆者がまだ2年生ぐらいだったら,若気の至りだとして放っておけるのですが,5年生,6年生ぐらいの学生がこんな記事を書いたとしたら,さすがに放っておけません.こんな考えの学生が増えたら日本の医療は本当にダメになるでしょう.ヒポクラテスの誓いなど医の倫理の基本に立ち返って,自らの考えを見直してほしいと切に思います.