本ブログの更新について
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posted by みっちぃ (管理人)
2007年07月09日
論文執筆でMS-Wordを使う時のコツ 4/表の作成について
論文原稿の作成の定番といえばTexですが,最近ではMS-WORDを使うことも多くなりました.今まで,以下のトピックを紹介しました.
【問題点】
実験結果の分析や集計はMS-Excelを用いて行う場合が多いと思います.Excel上で原稿用の表を作成しそれをWord上で貼りつければ,後から数値データを変更したりするような場合に自動計算されるので便利です.しかし,この機能(OLE:Object Linking and Embedding)を用いてExcelの表をそのままWord上に貼りつけることは,原稿の印象を低下させることがあります.
...
【解決方法】
OLEを使わず,Wordの表作成機能を使います.Wordの表作成機能は,罫線の種類,セル内の余白,セル内段落の設定など多くの機能を持っており,表を高い品質で作成できます.データの差し替えは面倒になりますが,将来にわたって長く残る文献となるのですから妥協すべきでないと思います.
【使用手順例】
1.Excelからデータをコピー&ペーストする
図1のような表をExcelからWordに貼りつける.まず,Excel上で通常通りコピーを行う.次にWord上で[編集]−[形式を選択して貼り付け]を選択する.その際,「HTML形式」を選択する(Word2000の場合).「Microsoft Excel ワークシートオブジェクト」を選択すると,OLE貼りつけになってしまう.貼りつけ後のWord上のイメージを図2に示す.
2.フォントを設定する
フォントを設定する.デフォルトのExcel上で作表していた場合,貼りつけた後のフォントは“MS Pゴシック”のままのはずである.原稿テンプレートで指定されているフォントに変更しておく.
3.列幅を指定する
例えば2段組フォーマットの原稿の場合,左右の余白を20mm,段組間のマージンを5mmとすると,1段分の幅はA4原稿の場合80mm程度になる.1段分の幅一杯に表を作ると考えて5列の表だから,1列あたり16mmである.マウスで表の罫線をドラッグ&ドロップすることでも列幅は指定できるが,正確に行うためにはプロパティ画面から指定する.
具体的には,表内を右クリックしてコンテキストメニューを表示し,「表のプロパティ」を選択する.表示された「表のプロパティダイアログ」から“列タブ”をクリックする.「幅を指定する」にチェックを入れて幅を入力する.「前の列」および「次の列」ボタンを押下しながら,1列ごとに指定する.
4.行高を指定する.
行高はフォントのサイズにも依存するので,固定値にしない方が扱いやすい.しかし,最小値設定が指定されていると,フォントを小さくしても最小値より高さが低くならない.そのような場合は「表のプロパティ」の“行”タブで高さ指定を見直す.
5.セル内余白の微調整
「表のプロパティ」の“セル”タブに「オプション」設定ボタンがある.このボタンを押すとセル内の余白を指定(セル内の配置設定)できる.私の経験的には,左右の余白は0mmにしない方が良い.0.1mmでもよいので余白を与えておかないと,文字列が罫線にくっついて窮屈さが増してしまうことがある.
上下方向は0に設定しておき,次項に示す段落設定を使って調整する.
6.段落設定
表内でも段落設定を行うことができる.表全体の段落設定を一度に行う場合には,表全体を範囲選択してからメニューの[書式]−[段落]を選択する.なぜだか分らないのだが,マウスの右クリックによるコンテキストメニューに「段落」は表示されない.
段落の設定についてはPart3が参考になると思う.表作成向けのコツとしては,高さ方向のを切り詰めたい場合は間隔設定の「段落前」「段落後」を0mmにして,「行間設定」は“固定値”とする.そして「間隔」にはフォントサイズと同じ値を入力する.10ポイントフォントならば“10pt”と入力する.
7.罫線の設定
罫線の設定は,Excelよりも詳細に設定可能である.ここでは次のように設定してみる.
一旦,罫線の設定をリセットするために「罫線なし」をクリックする.次に,「種類」から実線を選び「線の太さ」から「1pt」を選ぶ.表の上部と下部を指定するために,プレビュー横の該当位置のボタンをクリックする(図3).
次に,縦方向の罫線を引くために「線の太さ」で0.5ptを選び,プレビュー下の該当位置のボタンをクリックする(図4).
最後に,1行目下部の罫線を指定するが,現在は表全体が選択されているのでOKを押下して設定画面を一旦閉じる.閉じたら1行目だけを範囲選択して,再び「線種とページ罫線と網掛けの設定」を表示する.線の太さが0.5ptになっていることを確認したら,プレビュー横の該当位置のボタンをクリックする(図5).
これで,上記仕様に基づいた罫線が設定される.画面上では罫線の変化が分りにくいが印刷すると適切に設定されていることが分るはずだ.
8.文字列が長すぎる場合の対処
列タイトルなど,文字列が長くて列幅に収まらないときがある.しかも2行にしたくない場合がある.そのようなときはフォントの指定を変えてみる.
まず,フォント設定したい文字列を選択して,メニューから[書式]−[フォント]を選択する.フォントの設定画面が表示されたら,“文字幅と倍率”タブをクリックして「倍率」を100%より小さくする. この設定により,横方向に圧縮された書体になるため列内に収めることができる.なお,過剰に小さくすると読みにくくなるので注意が必要である.図6に設定前後の例を示す.
【まとめ】
図7に編集前後の印刷イメージ例を示します.Wordの作表機能を使う方が細かい設定が可能なので,制約の多い論文原稿に適しています.他にも,セルごとに網掛け(背景色の指定)が可能です.網掛けはExcelでも可能ですが,Wordの表機能の網掛けは色を自由に選ぶことができます.
【おまけ】
表というと,図7左のように全てのセルを全て罫線で囲んでしまう人がいますが,これは良い表とはいえません.右の例のように,罫線は必要最低限にすべきです.この例では縦方向に0.5ptの罫線を引きましたが,これも不要な場合が少なくありません.
- Part1:図表はテキストボックスの中に入れてレイアウトする.
- Part2:オートシェイプによる図はPowerPointで作成し,拡張メタファイルとしてWord上に貼りつける.
- Part3:段落の行送りをマスターする.
【問題点】
実験結果の分析や集計はMS-Excelを用いて行う場合が多いと思います.Excel上で原稿用の表を作成しそれをWord上で貼りつければ,後から数値データを変更したりするような場合に自動計算されるので便利です.しかし,この機能(OLE:Object Linking and Embedding)を用いてExcelの表をそのままWord上に貼りつけることは,原稿の印象を低下させることがあります.
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【解決方法】
OLEを使わず,Wordの表作成機能を使います.Wordの表作成機能は,罫線の種類,セル内の余白,セル内段落の設定など多くの機能を持っており,表を高い品質で作成できます.データの差し替えは面倒になりますが,将来にわたって長く残る文献となるのですから妥協すべきでないと思います.
![]() 図1 オリジナルデータのExcel画面 ![]() 図2 ワードに貼りつけた後の画面例 |
1.Excelからデータをコピー&ペーストする
図1のような表をExcelからWordに貼りつける.まず,Excel上で通常通りコピーを行う.次にWord上で[編集]−[形式を選択して貼り付け]を選択する.その際,「HTML形式」を選択する(Word2000の場合).「Microsoft Excel ワークシートオブジェクト」を選択すると,OLE貼りつけになってしまう.貼りつけ後のWord上のイメージを図2に示す.
2.フォントを設定する
フォントを設定する.デフォルトのExcel上で作表していた場合,貼りつけた後のフォントは“MS Pゴシック”のままのはずである.原稿テンプレートで指定されているフォントに変更しておく.
3.列幅を指定する
例えば2段組フォーマットの原稿の場合,左右の余白を20mm,段組間のマージンを5mmとすると,1段分の幅はA4原稿の場合80mm程度になる.1段分の幅一杯に表を作ると考えて5列の表だから,1列あたり16mmである.マウスで表の罫線をドラッグ&ドロップすることでも列幅は指定できるが,正確に行うためにはプロパティ画面から指定する.
具体的には,表内を右クリックしてコンテキストメニューを表示し,「表のプロパティ」を選択する.表示された「表のプロパティダイアログ」から“列タブ”をクリックする.「幅を指定する」にチェックを入れて幅を入力する.「前の列」および「次の列」ボタンを押下しながら,1列ごとに指定する.
4.行高を指定する.
行高はフォントのサイズにも依存するので,固定値にしない方が扱いやすい.しかし,最小値設定が指定されていると,フォントを小さくしても最小値より高さが低くならない.そのような場合は「表のプロパティ」の“行”タブで高さ指定を見直す.
5.セル内余白の微調整
「表のプロパティ」の“セル”タブに「オプション」設定ボタンがある.このボタンを押すとセル内の余白を指定(セル内の配置設定)できる.私の経験的には,左右の余白は0mmにしない方が良い.0.1mmでもよいので余白を与えておかないと,文字列が罫線にくっついて窮屈さが増してしまうことがある.
上下方向は0に設定しておき,次項に示す段落設定を使って調整する.
6.段落設定
表内でも段落設定を行うことができる.表全体の段落設定を一度に行う場合には,表全体を範囲選択してからメニューの[書式]−[段落]を選択する.なぜだか分らないのだが,マウスの右クリックによるコンテキストメニューに「段落」は表示されない.
段落の設定についてはPart3が参考になると思う.表作成向けのコツとしては,高さ方向のを切り詰めたい場合は間隔設定の「段落前」「段落後」を0mmにして,「行間設定」は“固定値”とする.そして「間隔」にはフォントサイズと同じ値を入力する.10ポイントフォントならば“10pt”と入力する.
![]() 図3 罫線設定 (表上部と下部) ![]() 図4 罫線設定 (縦罫線) ![]() 図5 罫線設定 (タイトル行下部) ![]() 図6 フォント倍率の変更例 |
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図7 印刷イメージ例 (左=無編集,右=編集後.) (クリックで150dpi相当イメージ) |
罫線の設定は,Excelよりも詳細に設定可能である.ここでは次のように設定してみる.
- 表上部と下部は1ptの実線
- 縦方向の罫線と1行目(列タイトル)下部の罫線は0.50ptの実線
一旦,罫線の設定をリセットするために「罫線なし」をクリックする.次に,「種類」から実線を選び「線の太さ」から「1pt」を選ぶ.表の上部と下部を指定するために,プレビュー横の該当位置のボタンをクリックする(図3).
次に,縦方向の罫線を引くために「線の太さ」で0.5ptを選び,プレビュー下の該当位置のボタンをクリックする(図4).
最後に,1行目下部の罫線を指定するが,現在は表全体が選択されているのでOKを押下して設定画面を一旦閉じる.閉じたら1行目だけを範囲選択して,再び「線種とページ罫線と網掛けの設定」を表示する.線の太さが0.5ptになっていることを確認したら,プレビュー横の該当位置のボタンをクリックする(図5).
これで,上記仕様に基づいた罫線が設定される.画面上では罫線の変化が分りにくいが印刷すると適切に設定されていることが分るはずだ.
8.文字列が長すぎる場合の対処
列タイトルなど,文字列が長くて列幅に収まらないときがある.しかも2行にしたくない場合がある.そのようなときはフォントの指定を変えてみる.
まず,フォント設定したい文字列を選択して,メニューから[書式]−[フォント]を選択する.フォントの設定画面が表示されたら,“文字幅と倍率”タブをクリックして「倍率」を100%より小さくする. この設定により,横方向に圧縮された書体になるため列内に収めることができる.なお,過剰に小さくすると読みにくくなるので注意が必要である.図6に設定前後の例を示す.
【まとめ】
図7に編集前後の印刷イメージ例を示します.Wordの作表機能を使う方が細かい設定が可能なので,制約の多い論文原稿に適しています.他にも,セルごとに網掛け(背景色の指定)が可能です.網掛けはExcelでも可能ですが,Wordの表機能の網掛けは色を自由に選ぶことができます.
【おまけ】
表というと,図7左のように全てのセルを全て罫線で囲んでしまう人がいますが,これは良い表とはいえません.右の例のように,罫線は必要最低限にすべきです.この例では縦方向に0.5ptの罫線を引きましたが,これも不要な場合が少なくありません.
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