本ブログの更新について

 本ブログの更新は2016年3月31日をもって終了しました.ありがとうございました.
posted by みっちぃ (管理人)

2007年02月24日

20年後,40年後のプランを考えよう

博士(工学)の学位取得を考えて進路を悩んでいる(学部生の)皆さんへ.もし,私の考えがあなたの意思決定に貢献できれば幸いです.
今回は,学位習得が自分の人生に対してどのように影響するかをまとめたいと思います.ここでは,学位取得後に助手,講師,助教授,教授というキャリアパスを描いた場合について考えたいと思います.

(1)生涯年収について
 いくつかリンクを張りましょう.
 最後のリンク先には「35歳助教授 900万円・・・65歳教授 1400万円」なんてなってますが,これはかなり良いほうに思えます.少なくとも私の大学では,先生方のお話を間接的に聞く限り,ここに記載されいている8〜7割程度のようです.もちろん大学によって異なるのでしょうが,上記2つのリンクの内容を合わせて考えても,工学系の大学教授の生涯年収が高いとはいえません.

(2)定年制度
 一般社会人に比べて定年が遅いイメージがあるかもしれませんが,多くの場合65歳となっているはずです.65歳定年制は一般企業でも導入が始まるでしょうから特別なことではありません.その後“名誉教授”という形で大学に残ったとしても,称号を与えられたものであって,同時に研究環境が与えられたとしても給与支給が継続するものではありません.

(3)生活の安定度
 今まで大学はまさに聖域だったのでしょうが,大学淘汰の時代に入り,競争力のある大学だけが生き残る形になります.ここで大学格差は無視できません.もしあなたが既に一流大学に在学していて,一流大学の大学院に進学するのであれば大学格差の心配はしばらく無用だと思います.そうでないならば,自分の大学の将来を長い目で見積もる必要があると思います.
 (工学系の場合で,)大学の将来を見極める方法はいくつかあります.比較的簡単な方法を紹介しましょう.(別に大したことじゃないです)
  • 先生方の過去5年間分の研究業績をすべて調査する.採録されたJournalが十分あるかどうかを確認する.その際インパクト・ファクタを意識すること.海外の学会だからと言ってインパクト・ファクタが高いとは限らない.なお,査読のない研究報告や口頭発表は参考にならないので注意.
  • 業績が見つからない場合,なぜ見つからないかを調査する.次の原因が疑われる場合は大学の将来が危ぶまれる.
    • 授業が忙しすぎて研究の時間がない.定年などで先生方がご退官されていくのに,増員がない場合はさらに要注意.大学運営側が人件費削減している証拠.
    • もともと研究する意思がない.例えば,春休みなどの長期休暇中にほとんどご登校されておらず,ご研究されている気配がないとか.
    • 設備投資がなく最新の研究環境がない.通常,科研費で研究環境作りができるはず.科研費はここで採択研究を検索できるので調べてみると良い.
  • 産学連携プロジェクトが,大学内でどのくらい行われているかを調査する.そして,プロジェクトからどのような研究成果が出ているかを調べる.企業の“お手伝い”のための産学連携はあまり好ましくない.
 他にもリストアップしたいことがあるのですけど,とにかく“研究成果”が出ていることが大事です.“書籍”が出ていても駄目です.書籍には新しい“アイディア”が含まれないからです.新しいアイディアであれば,先に論文が出ているはずです.
 なぜ“研究成果”に重みを置くかというと,それが研究者のシゴトであるからです.良い研究者はより多くの“良い研究成果”を残します.良い研究成果は世界的なインパクトを与え,新たな資金と優秀な学生を大学に呼び込むのです.
 このことは,先生方も重々承知なされているはずです.ここに書いたことは私の私見ではなく,一般的に考えられる範疇のもです.そうであるにもかかわらず研究業績が見当たらないとすれば,それは不思議なことなのです.
 もしかしたら,将来,あなたがすばらしい研究成果を残すかもしれません.自信があるなら,そのモチベーションは大切にしたほうが良いでしょう.でも,あなたのやりたい研究のための環境が十分用意されているでしょうか.研究環境がなければ成果を残せませんし,成果を残さなければ研究環境を得ることができません.学位取得後に有利に研究を進めるには,大学院時代に良い研究成果を残すことです.そのための環境が十分にあるかどうかも,しっかりと見極めなければなりません.それが,安定した生活を得るための第一歩です.

(4)今回のまとめ
 こうしてみてくると,大学教授の立場が決して安定しているわけでも,優遇されているわけでもないことが分ると思います.例えば先日,MITの石井教授がNHKの番組に出演されていましたが,一般のサラリーマン以上にご多忙な生活を送られています.石井先生が特別なわけではありません.第一線でご活躍されている先生方は,大変忙しいご生活を送られています.そしてその中で,着実に研究成果を残されています.
 20年後あるいは40年後の自分が,そのような多忙な生活を送っていることを想像できるでしょうか.想像できないのであれば,博士(工学)の学位取得は無駄になるかもしれません.博士(工学)の学位取得に意味があるのではなく,学位を生かした生活に意味を見出す必要があるのです.
posted by みっちぃ (管理人) at 02:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 博士(工学)を目指す方へ
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/3405536

この記事へのトラックバック